上川養鱒場 ( かみかわようますじょう ) の日記
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養鱒場たより11月3日
2021.11.03
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「文化の日」によせて
日本の食文化に「和食」と言う言葉がある。
世界が注目する食文化であり、調理技術でもある。
煮る 焼く 蒸す 炒めるなど、調理補法は色々ある。
当養鱒場には他に見かけない調理方法がある。
見かけないと言うより、しなくなった 出来なくなった調理方法である。
それは「魚の塩焼き」である。
魚の塩焼きはどこでも出来る。
家庭でもグリルに入れれば「塩焼き」はできる。
でも、魚を立てて焼くことは出来ない。
昭和の30年代頃まで、茅葺屋根の民家はい多くあった。
そこには囲炉裏が掘られ、火が焚かれ、周りで魚が立てて焼かれていた。
日本のどこでも見られた風景であり、調理方法でもあった。
今思うと、この素朴な調理が最も川魚の旨みを引き出す調理方法だと思う。
だからこそ、多くのお客さんに「美味しかった」と言って頂ける。
私は「魚を立てて焼く」調理方法は日本の食文化の一つと考えている。
そして、多くの外国人も来てくれるが、
「私の国でも魚を立てて焼いている」と言った人はいない。
唯一、ベトナムの青年が「やっている」と言ったが、
話を聞くと戦前 日本兵が伝えたようだ。
「魚を立てて焼く」調理方法を日本の文化として自慢して良いと思う。